レギュラーテンペラメントとランクrテンペラメント

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This article focuses on the mathematical tools used to describe a regular temperament. For an introduction to regular temperaments, see レギュラーテンペラメント.


Wikipediaによるレギュラーテンペラメントとランクテンペラメントの解説

Xenharmonic Wikiの「Regular Temperaments」は少々難解な個所が多く、全貌がつかみにくいため、Wikipediaの「Regular temperament」の翻訳をまず示し、解読の容易化を図る。また、ランクrテンペラメントの解説も比較的よくまとめられている。

原文『Wikipedia』:https://en.wikipedia.org/wiki/Regular_temperament oldid=1139233514

概要

レギュラーテンペラメントとは、任意のテンパーされたミュージカル調律システムである。各周波数比は有限個のジェネレーター(周波数比)の冪の積として得られる。例えば西洋でよく使われる12平均律は、テンパーされた5度(700 セント)をジェネレーターとして持ち、これが五度圏を閉じる鍵となっている。

ジェネレーターをちょうど 2 個持ち、その片方がオクターブである場合、それはリニアテンペラメントと呼ばれる。最も知られている例としては、ミーントーンであり、それはジェネレーター音程が通常わずかにフラットにされた5度とオクターブとなる。他のリニアテンペラメントとしてはschismatic temperament, Hermann von Helmholtz, miracle temperamentがある。

数学的な記述

もしジェネレーターが素数 p 以下のすべての素数であるならば、我々はそれをp-limit純正調と呼ぶ。テンパーの方法の例として、何らかの無理数が、近似するこれら素数のひとつを置換することで他の素数の支持に回る(その素数で生成できるようになる。線形従属になる。実質的にジェネレーターが1個減る)。12平均律の 3 は 219/12 にテンパーされ 2 を支持し、1/4コンマミーントーンの 3 は 2 * 51/4 にテンパーされ 2 と 5 を支持する。

(中略)

レギュラーテンペラメントについて学ぶとき、テンペラメントをp-limit純正調からテンパーされた音程集合へのマップ(写像、関数)とみなすと便利である。テンペラメントの次元を適切に分類するため、一体いくつのジェネレーターが線形独立なのかということを決定する必要がある。なぜならば、その記述は冗長である場合があるからである。この問題のもう一方の見方は、テンペラメントのランクを、このマップの写像先の像のランクとすることである。

たとえば、おそらくチェンバロに使われた1/4コンマミーントーンは、3 つのジェネレーターをもつ。すなわち 1 オクターブと、純正長3度(5/4)と、1/4コンマテンパード5度である。しかし 4 つ積み重ねられたテンパード5度が純正長3度を作るため、長3度が余剰であり、ランク2テンペラメントに縮小することになる。

他の手法として線形代数と多重線型代数が、そのマップに適用される。たとえば、マップのカーネル(零空間)はp-limit純正音程(コンマと呼ばれる)によって構成される。コンマはテンペラメントを表現するのに便利なプロパティである。

Xenharmonic wikiによるRegular Temperamentの解説

原文『Xenharmonic wiki』:Mathematical theory of regular temperaments

概要

レギュラーテンペラメントは対象の(純正)音程のアーベル群からテンパーされた音程のアーベル群への準同型写像である。典型的には、定義域は有理数の乗法的部分群である(aka p-limit JI)。テンパーとは、故意にチューニングを変更することによってコンマ、またはコンマのセットが「消され」、ユニゾンになること(テンパーアウトという)によって実行される。レギュラーテンペラメントの有用性の一部は、音階を生成することである。音階は、厳密な純正律に比べ簡略であり、協和する音程を多く持つ。これは高いレベルの協和、または純正律の近似を維持することによる。そして他の一部は、コンマをテンパーアウトするものとして利用できる「語呂合わせ」を導入することである。テンペラメントは効果的に純正律の次元を減らす。それによりピッチ間の関係性をより簡略化するのである。

数学的に言うと、レギュラーテンペラメントは定義域を近似したいJI等とし、値域をテンパーされた音程群とする関数である。一般的にはこの写像は多対一である。2つの異なる有理数が同じテンパーされた音程に写像されることがある。これをtempered togetherという。

例えば、7リミット純正調のピッチ間の関係性は、7 までの素数(2, 3, 5, 7)の軸で表される 4 次元で考えることができ、全ての音程は 4 次元座標で位置づけられる。7リミットレギュラーテンペラメントにおいて、しかしながら、どうにかして次元は減少される。それはテンパーアウトされるコンマに依存する。そして音程はうまく調整され 1, 2 または 3 次元の座標で位置づけられる。次元数の減少はテンパーアウトされたコンマの数に依存する。テンパー後の次元数がテンペラメントのランクである。

具体例として、7リミットミーントーンテンペラメントを関数 M とすると、M(6/5) = M(32/27) = "minor third" である。2つの純正音程の差(周波数比)である 81/80(シントニックコンマ)はテンパーアウトされている。すなわち M(81/80) = M(1/1) = "unison" である。

各レギュラーテンペラメントは抽象的なもので、特定のチューニングを決定してしまうものではない。任意のテンペラメントの最適なチューニングを計算で求めることができるが、最適性の尺度はいくつも存在していてそれぞれチューニング結果も異なることになる。そのため、各テンペラメントにはチューニング可能な範囲(ジェネレーターのサイズの範囲で示される)がある、というように取り扱うことが多い。ジェネレーターのチューニングが与えられると、任意のテンパーされた音程はジェネレーターの整数係数線形結合として計算できる。この性質がテンペラメントをレギュラーたらしめている。

次元数、またはランク

特定の調律(つまり周波数比決定済み)におけるランク-r レギュラーテンペラメントはおそらく、与えられた r 個の乗法的に独立した実数により定義されるだろう。それら実数を掛け合わせることでそのテンペラメントの音程が生成できる。ランク-r テンペラメントは r 個のジェネレーターにより定義され、従って r 行のヴァルである。抽象的レギュラーテンペラメントは、様々な方法により定義される。例えば、テンペラメントにおけるテンパーアウトされるコンマのセットで与えることで定義されたり、テンペラメントのマッピングを定義する r 行のヴァルを与えるというやり方だったりする。テンパーアウトされたコンマをもつテンペラメントの特徴は、コンマポンプである。和声的に関連する音符やコードのシーケンスにより、開始地点に戻る。それらは純正律では不可能なことである。例としては、ミーントーンテンペラメントの I-vii-IV-ii-V-I である。

ランク1テンペラメント (平均律)

平均律 (ET or tET) と オクターブの均等な分割 (edo or ed2) は似た概念であるが、用語の使われ方が異なる。p-リミット平均律は、単純にジェネレーターが1種類しかないp-リミットテンペラメント、つまりランク1テンペラメントであって、p-リミット純正音程を1次元座標を用いてマップする。このようにETという用語はオクターブなど何らかの音程を等分割するということに縛られず、実際に純オクターブを等分割するものではないETが多数考えられている。他方で、n-edoは、オクターブをn個に等分したものであって、純正音程からのマッピングを考慮していないものである。edoはedoの音程を出力するマッピングに接続することでETとして扱える。それは典型的にはedoに支持されるテンペラメントのヴァルを使ってであるが、おもしろい結果を得るためにそれ以外のヴァルを使うもできる。慣れ親しんだ12平均律(edoとETを区別せずこのように呼ぶこととする)は完全5度(約 701.955 セント)のサイズをピタゴラスコンマの 1/12 だけ短縮することによって 700.0 セントの5度を得る。ほかにも12etに支持されるテンペラメントがある。

(後略)